大判例

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横浜地方裁判所 昭和29年(ワ)687号 判決

原告 中山登里

被告 岡本喜策

一、主  文

一、本件につき横浜簡易裁判所が昭和二十九年四月八日発した(昭和二十九年四月三十日仮執行宣言)支払命令を維持し、支払命令に対する異議申立を棄却する。

二、支払命令異議申立以後の訴訟費用は、被告の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は、主文第一項同旨並に訴訟費用は、被告の負担とするとの判決を求め、その請求原因として、

一、被告は原告に宛て昭和二十九年一月十二日金額十万円、満期昭和二十九年三月二十六日、支払地並に振出地横浜市、支払場所株式会社富士銀行横浜伊勢佐木町支店なる約束手形一通を振出し、

二、原告は、右手形を、満期日に支払場所に於て呈示したが、その支払いを拒絶された。

三、よつて右手形金及びこれに対する呈示の翌日である昭和二十九年三月二十七日以降完済迄年六分の割合による遅延損害金の支払いを求めるものなるところ、本件については既に横浜簡易裁判所に於て仮執行宣言付の支払命令が発せられているから、右仮執行宣言付支払命令を維持し、被告の異議申立を棄却するとの判決を求める。

と述べ、被告の主張する事実を否認すると答えた。

被告は、適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭せず、たゞ陳述したとみなした答弁書によれば「請求を受けて居る約束手形金十万円は、期日前手形支払人井伊保氏へ金四万円を支払い、残額六万円は品物により返済解決済となつている」旨の記載がなされている。

三、理  由

一、原告の主張する事実は、被告が明かに争わないから自白したものとみなす。

二、被告の主張する事実は、何等の証拠なく採用できない。

三、右原告の主張事実によれば、被告は原告に対し、右約束手形金十万円と、これに対する右手形呈示の翌日である昭和二十九年三月二十七日以降完済に至るまで年六分の割合による遅延損害金の支払義務のあることは明かである。

四、しかして、本件は督促手続として進行し、右原告の請求につき横浜簡易裁判所に於て主文第一項記載の仮執行宣言付支払命令が発せられ、これに対し、昭和二十九年五月十八日被告より適法な異議申立のなされたことは本件記録上明白である。

かように仮執行宣言の附された支払命令に対し異議の申立がなされても、その宣言前の異議申立と異り、支払命令の効力は依然として存続するから、右異議申立は、仮執行宣言付支払命令取消の申立と解され、この場合に於ける審判の対象は上訴の場合に準じ、支払命令に対する異議の当否と言うべきである。(そう解しないと原告勝訴の場合同一訴訟物につき仮執行宣言付支払命令と、給付判決とが重複し、これに反し原告敗訴の場合に於て、形式的になほ仮執行宣言付支払命令の効力が存続すると言う不都合な結果を生ずる。)

五、右の理由により横浜簡易裁判所のなした前記仮執行宣言付支払命令を維持し、被告の異議申立は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用について、支払命令に対する仮執行宣言手続までの費用は、右支払命令に於て被告にその支払を命じてあるのでこれを除き、異議申立以後の訴訟費用を敗訴の被告に負担させ、主文の通り判決する。

(裁判官 地京武人)

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